Ventricular tachycardia with a myocardial fibre travelling from the origin in the right aortic sinus cusp to the epicardial breakout site of the right ventricular outflow tract.
これは、なかなか難しいというか珍しいケースだと思います。
冠動脈入口部分の弁の部分(coronary cusp)の心筋線維が右室流出路(RVOT)の心外膜側に接続することにより心室頻拍が持続するというメカニズムだそうです。
まず、coronary cuspのアブレーション治療をするのは日本人医師くらいなもので、欧米の医師はそういった部分のアブレーションをする日本人を見て、「クレイジーだ!」と言って、そこに不整脈の起源があってもほとんど手をつけることはありません。
冠動脈という名前からもわかるように、いわゆる動脈なので、カテーテル操作やアブレーションによる合併症(血栓など)の危険性が高い、あるいは操作が難しいなどの理由で敬遠されるのですが、そこは日本人医師の手先の起用さ、あるいはエビデンスに基づく自信からくるものなのかもしれません。
また、この症例のつらいところは、右心室付着端が心外膜にあるということで、心内膜からのカテーテルアブレーションが困難であるということです。
しかし、この症例のものすごいと思うところは、特発性心室頻拍でペースマップでcoronary cuspとその部分から1cmほど離れた心外膜部分であることをつきとめて、その間に伝導路の存在があるということをつきとめたところだと思います。
#そういう現場に遭遇しても、そのような伝導路が存在するかもしれないと思いつく自信全くなしです。