Termination of atrio-ventricular reentrant tachycardia in a pregnant woman using transoesophageal atrial pacing and pharmacotherapy.

Termination of atrio-ventricular reentrant tachycardia in a pregnant woman using transoesophageal atrial pacing and pharmacotherapy.

妊婦がAVRT(房室回帰性頻拍)の発作を起こしたときに経食道ペーシングと薬物治療で発作を止めたという話のようです。
AVRTと聞くと、すぐに「そりゃアブレーションだな。」と考えてしまうのは思い混みが過ぎるのかも?とすこし自戒の念を抱きました。

妊婦ということもあるので、より侵襲度、危険度の少ない方法で、頻拍を止めるというのはなるほど適切な判断だな!と思いました。

Time-frequency analysis for arrhythmia discrimination using human atrium electrogram.

Time-frequency analysis for arrhythmia discrimination using human atrium electrogram.

不整脈検出アルゴリズムで時間領域での解析が手軽で、計算量も少ないのでいろいろな応用が利くが、その一方で心房頻拍や心房細動などの検出については、ノイズや体動に弱く、ピーク検出アルゴリズムが複雑になりがちである。
したがって、時間-周波数領域でスペクトラムとフィルタリングのみで、ピーク検出を用いない不整脈検出アルゴリズムが実現できたという話です。

Factors associated with efficacy of cardiac resynchronization therapy for patients with congestive heart failure.

Factors associated with efficacy of cardiac resynchronization therapy for patients with congestive heart failure.

慢性心不全患者の心室再同期療法(Cardiac Resyncronization Therapy:CRT)では、左室側のリード留置位置やA-Vディレイ、V-Vディレイなど調整するパラメータが多く効率的かつ適切にそれらのパラメーターを決定するのは難しい問題であります。
これまでは、QRS幅やEFなどで判断することが多いと思うのですが、CRT治療を続ければ、それに応じて、心臓のリモデリングも当然進むわけで、同じパラメータでずっと良好な状態が維持されるわけではありません。

#そういう意味では、エコーで僧帽弁逆流(MR)がないかを
#チェックするのが王道だと思うのですが、あまり浸透して
#いません。

この論文では、

  • 心房細動患者はレスポンスレートが遅れる傾向がある。
  • 心房細動のない患者については、
    • QRS幅 ↑
    • 収縮期肺(動脈?)圧 ↓
    • 左室前駆出時間 ↑

となるときにレスポンスレートが良くなるということで、これらがCRTの有効性につての評価として適切であるという話のようです。

Right ventricular desynchronization in patients with pacemaker syndrome.

Right ventricular desynchronization in patients with pacemaker syndrome.

心房細動をもつペースメーカー症候群あり/なしの各群に対して、心室の非同期収縮の発生についての評価をするために、中隔、左室側壁、右室側壁のピーク速度や、その加速度について観測した結果、中隔-左室間のピーク速度の時間差がペースメーカー症候群患者のほうが著明に(つまり、有意差ありで)延長、中隔-右室間のピーク速度の時間差は逆に短縮したとのこと。
ということで、ペースメーカー症候群の患者では、右室の非同期収縮より左室の非同期収縮のほうが問題になるとのこと。

#まあ、当たり前といえば当たり前かもしれませんが、
#心房細動やペースメーカー症候群患者の心室非同期収縮
#というのは、慢性心不全などと比較して、あまり真面目に
#議論されたことがないのかもしれません。

 Prolonged signal-averaged P-wave duration as an intermediate phenotype for familial atrial fibrillation.

[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18342226?ordinalpos=5&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum:title=
Prolonged signal-averaged P-wave duration as an intermediate phenotype for familial atrial fibrillation.]

心房細動の家族歴がある患者に対して、「加算平均したP波幅の延長がみられる」というphenotypeと遺伝子の突然変異との関係を調べたところ、5p15という遺伝子の変異との関連がありそうだという話のようです。

私の知る限り(ということは、大して知らないといことですが)、心房細動と遺伝子のミューテーションとの関連が議論されたのはとても珍しいと思いました。

今後は、この遺伝子にコーディングされているたんぱく質について、ミューテーションの有無によって、どのように構造が変化するか、そしてそのことがパスウェイ上でどのような影響を与えるのか?ということが、さらなる心房細動治療のテーマになっていくものと思われます。

 Predicting termination of atrial fibrillation based on the structure and quantification of the recurrence plot.

Predicting termination of atrial fibrillation based on the structure and quantification of the recurrence plot.

心房細動が自然停止するかどうかを、リカレンスプロットから予測するそうです。
リカレンスプロットやローレンツプロットをとるという手法自体は、比較的よく行われる方法ですが、この論文の大きな特徴はそのパターン分類にニューラルネットワークを使っているということにあると思います。

通常、ミッションクリティカルなシステムには、ニューラルネットワークのような未知の入力に対する出力が不安定かつ、Fail Safeになることが保証されないことが、アルゴリズムとしては致命的であり、ファジー理論などのハイブリッドシステムで部分的に導入されることもあるようですが、非常に稀です。

また、過剰学習により、これまでの学習で構築されたロジックを破壊してしまうこともあるので、なんらかの安全確保のためのアルゴリズムが必要になります。

#まあ、これも割り切りの問題で、「参考程度」として扱うというふうに
#付き合うことができれば問題ないのでしょうが、情報理論と臨床の壁は大きいです。